単なるストラップではなく、フォトグラファー向けギアシステムへPeakDesign『SLIDE』

フォトグラファー向けギアブランド『Peak Design』。

同社のフラッグシップ・カメラストラップ『SLIDE』がアップデートし、2017年12月より国内での販売が開始された。

Peak Designのプロダクトの特徴は大きく2つある。

1つは、専用の留め具によって、ストラップの脱着が容易なこと。カバンの中にしまったりハンドストラップに変えたかったりと、カメラストラップをよく脱着する人には従来のひもを通すタイプのインターフェースは非常に不便だ。

Peak Designのストラップは、ハンドストラップや同社のバッグを含め同一規格の丸いプラパーツで簡単に脱着ができる。ストラップ以外のカメラバッグやハンドストラップ、クリップなどとも共通のため、Peak Designのプロダクトでギアを揃えると高い互換性を誇るシステムを組むことができる。

2つめは、スライダー。肩掛けから斜めかけ、ハンドなどストラップを頻繁に掛け替え・伸縮を行えるよう、スライダーのロックがワンタッチで解除できるようになっている。

いずれもフィールドで簡単にセットアップできるよう考え尽くされた仕様だ。

同社は2010年にKickstarterでクラウドファンディングを実施し、初のプロダクトをリリース。そのご改良を続け現在に至る。

僕自身、一世代前のものを利用しているが、今までのカメラストラップに比べると利便性は圧倒的。カメラによってPeak Design含めいくつかストラップを使っているが、いずれもカメラから簡単に取り外せるものにしている。外せるので防湿庫の容積も抑えられ(結果的に機材の増加に繋がったりす)る。

デザインも他と比べれば抜群に良い。(無論ギアとして)地道にアップデートを繰り返してくれている姿勢も好印象だ。

小さな会社ではあるが、今後も面白いプロダクトを出してくれることを期待している。

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source / image : Peak Design

『ZOZOSUIT』が実現する3つの可能性。データドリブンなファッションへ

「久しぶりにやばいもの出てきたな…」と言うのが最初の印象だった。

ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイは、採寸ボディースーツ『ZOZOSUIT』を発表した。

ZOZOSUITは上下セットで着用し、スマートフォンで撮影することで、全身のサイズを採寸できる、伸縮センサー内蔵のボディースーツ。11月22日に予約を開始したが、現在無料配布(送料別)となっている。

1個3,000円のプロダクトを無償で配りまくるZOZOTOWNに驚きつつ、その裏にはきっと膨大な可能性が眠っている。ビジネス面、そして一服好きとしてその可能性をちょっと考えてみる。

プライベートブランドの最適化

まず期待をされるのは、先日発表があったプライベートブランドでの活用だった。

極端に言えば、一人ひとりにぴったりのサイズで服を提供することができるはずだ。無論生産効率と価格のバランスを考えると合理的でなくなっていくのだが、UNIQLOのスーツのようにフルオーダーではないにしろ、低価格でパターンオーダーという可能性は十分にありうる。

La Fabricでは一度店頭で測定すれば、次回以降はオンラインから注文ができるのだが、ZOZOSUITがあれば初回からカスタムサイズの注文が可能になるはずだ。

もちろんカスタムサイズでないとしても、ZOZOSUITで集めたデータを元に最適解としての展開サイズを導き出すことは容易にできるはずだ。

どちらにしろ、プライベートブランドのサイジングに対するフィードバックはほぼほぼ間違いなく期待できるだろう。

ZOZO販売商品のサイジングの最適化と返品率

とはいえ、それだけで1着定価3,000円のプロダクトの原価が回収できる可能性は低いのではないか。

そこで次なる可能性として見えてくるのが、ZOZOTOWN上でのフィッティングミスの低下だろう。既存でもZOZOTOWN上では過去に購入した服のサイズを表示し、前買った(つまり手元にある)服と比較してどれくらいのサイズだろうと考えられるように作られている。

その精度をさらに向上させる施策として、自分の測定データと比較してどの程度か(どのあたりに何センチのゆとりが生まれるか、頑張れば3Dモデルくらい作れるだろう)を知ることができる。

これによって、ECにおける最大のハードルである「サイズ」問題を抜本的に解決していく可能性があるかもしれない。サイズ問題の解決は、購買時の心的ハードルをさらに下げることでの利用者の増加や、返品数の低下に寄与する。

ZOZOTOWNの場合、返品不可商品も少なくないが、スタートトゥデイが運営するECサイト(UNITED ARROWSなど)では返品可のサイトもある。そこでの返品率の低下は全体でのオペレーションコスト低下に繋がるはずだ。

詳細なファッションデモグラを持ったサイズデータ

そして、ZOZOSUITの最大の怖さ、つまり強さはデータにある。

1回で15,000箇所の採寸データを取得できるZOZOSUITがあれば、膨大な量の人間の採寸データを蓄積できる。ただZOZOが蓄積できる恐ろしさはそれだけではない。ZOZOには購買データに基づく膨大なファッションにおけるデモグラフィックデータが蓄積されているのだ。

これまで紐付けられることのなかった購買データと身体データが繋がることで、製造量やサイズの最適化からマーケティング、ブランディングの最適化などができる。

例えば、現在でもUnited Arrowsの服をよく買う人は、ボトムスはタイトめを好むが、トップスは意外と少しゆったりしたものを好みがちといったデータが見えてくるかもしれない。これは製造ボリュームの調整や次期シーズンにおけるパタンの最適化にも繋がって行く。

またお店ごとで買う人の体型に特徴があるなんてこともあるかもしれない。BEAMS BOYの服を買う人は身長160cm以下で比較的痩せ型の25歳以下が多いなんて具合にだ。であればそこにフォーカスしたマーケティングやブランディング、適切なプロダクトの展開ができるはずだ。

無論、すべてはスタートトゥデイが収集したデータをどう扱うかのポリシーによるが、購買データと採寸データを合わせることで、より定量的にファッションを扱えるのは他ではできない強みだ。

元々ファッションに特化したモールとして、ファッションブランドを横串に見れる強さがあったが、そこからより「購買者」のデータをリアルに見れ、製造へとフィードバックすることがZOZOSUITがあれば可能になるはずだ。

サイジングとフィッティング

さてさて、ビジネス面の強さはここまでで十分。ここからは個人的な服選びにおける価値について考えたいなと思う。

ZOZOSUITによって服のサイズが最適化される。ただこれはあくまで定量的な話でしかない。服を選ぶ基準、着心地は必ずしも定量的には測れない。適切なサイジングは見つけられても適切な服選びを実現するまではいかないということだ。

たとえば生地の質感や厚み、伸縮量、縫製の方法や位置、ライナーの有無や中身の量などによって服の着心地や着たときの印象は大きく変わる。つまり定量的に測れない要素が数多存在する。

そして同じサイズでも着方はそれぞれだ。同じタイトであっても、人によって考え方は異なる。無論、そこまで細かくこだわらないという人は構わない、しかし、ファッションは趣味性の固まりなので、こだわりが強い人も少なくない。

僕自身そうなので、強く思うが、最適なサイジングの提供はあくまで最適解を導き出しやすくする補助線の域を超えない気がするのだ。

テクノロジーが導く最適な服選びは、まだまだ時間がかかりそうだ。

img: ZOZOSUIT

【Review】音も、デザインも、機能も譲らなかった『BeoPlay E8』

Bang & Olfsenのカジュアルライン「B&O Play」は、ワイヤレスイヤホン『BeoPlay E8』をリリースした。

11月22日の発売日を前に、11日から直営店限定で先行販売が開始。1週間弱使ってみたところで所感を書いていきたいと思う。

なお、筆者はTWS(True Wireless Stereo・完全左右分離型イヤホン)ではAirPods、ヘッドホンで『BeoPlay H8』、イヤホンで『UE900s』『TF10Pro』『QC30』『IE8』を使っており、そのあたりとの比較がメインだ。

TWS最高峰のデザイン

デザインはさすがにB&O。TWSの中でもトップクラスのクオリティだろう。

質感の高さ、金属とレザーの上手い使い分け、ケースの開閉の質感など。どの観点でみても抜かりない。

BeoPlayはB&Oらしい上質さを残しつつ、カジュアルラインらしい、いい意味でのチープさを併せ持つと個人的には思っている。E8のプラスチック筐体はまさにそれで、金属にすると、少々仰々しくなってしまうだろう。

ケース表面の型押しが控えめなのも好印象だ。(無論しっかりと主張してほしい人もいるだろうが)

バッテリーから接続まで。申し分ない機能

スペック表を見れば分かる話ではあるが念のため。

特筆すべきはバッテリーライフだろう。ケース込で12時間、単体で4時間。AirPodsには敵わないものの、他TWSと比べると長いほうだ。(とはいえこればかりは、AirPodsに敵わない)

使い方にもよるだろうとは思いつつ、筆者の場合は週2,3回の充電で十分。正直イヤホンを充電する習慣があまりない人間としてはとても助かっている。

よくある左右での音の断絶や、デバイスとの距離による音の途切れもかなり少ない。とはいえゼロではないのだが、視聴した限りのTWSの中ではかなりよい方だと思う。

E8を越える精度で音が切れないのは(僕の所有している物の中では)AirPodsくらいだと思う。

Beoplayらしい音、アプリが活きる音

E8の音というよりはもはやBeoPlayの音と言っても過言ではない。同社のヘッドホンH8と音の傾向はほぼ同じだ。

全域でしっかりと鳴らしつつ、中高音の表現は上手く、音場も広い。ダイナミック型らしからぬ音で、価格から考えるとかなり健闘している。とはいえあくまで同価格帯で比較した場合にというところだが。(といってもワイヤレスでここまでと言うのは素晴らしいと思うが)

ただ、BeoPlayプロダクトはアプリを使ってこそ真価を発揮すると個人的には思っている。できることはほぼほぼイコライザなのだが、直感的なUIで音の調整ができ、簡単に好みの音を作り出せる。僕の場合、中高音を多少引き上げて使っている。

音・デザイン・機能の全方位

ここまで一通り見た中で、なぜE8を選んだのかと言う話をしよう。

一言で表すなら「バランス」に尽きる。

他メーカーでは実現できていない、デザイン性。12時間近いバッテリーライフにコンパクトなボディ、ワイヤレス性能スといった機能。そしてBeoplayらしい元気な音。要素分解した際、全方位で優れているのがE8の特徴ではないだろうか。

よく言えば優等生、悪く言えば特徴がないのかも知れない。Earinもデザイン面は優れているし、SONYも音はいい。僕がE8を選んだのは、それぞれが及第点をはるかに超えたレベルだったからだと思う。

フラットにみて、TWSの市場はまだまだ成熟されていない。口コミサイトをみても「音が切れる」「バッテリーが持たない」「使いづらい」「音がイマイチ」といった意見が並ぶ。まだまだ多くの人が満足できる商品を各社作れていないのが現状だ。

AirPodsはなかなかいいレベルまで来ていると思いつつ、通勤時に使えないレベルで遮音性が皆無なのが個人的には痛いポイントだった。

まだまだ成熟していない市場で、E8の完成度は群を抜いている。正直BeoPlayがここまで完成度を上げて製品をリリースしてくれるとは思っていなかった。音の切れはまだまだあるだろうと思っていた。視聴機を試し、1週間使ってみて、僕の期待はいい意味で裏切られた。

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『経年変化』はアートのように。HenderScheme『Case Study』

ヌメ革を用いたレザーアイテムを展開する『Hender Scheme(エンダースキーマ)』。

あらゆるプロダクトを生地のヌメ革を用いて制作する同社。ブランドとしてはmip(Manual Industrial Product)シリーズと言われる、有名メーカーのシューズをヌメ革で再現したプロダクトで知られている。

冒頭の画像では、左上がReebokのPUMP FURY、左下がNIKEのAir Force 1を再現したモデルだ。他にもAdidasのSuperStarや、VANSのERA、NewBalanceの1300など……さまざまな「名作シューズ」を上質なヌメ革で再現し展開している。

同社のプロダクトの魅力は上質な革で再現された美しさもあるが、色を乗せず、加工等を入れてない、“生地のヌメ革”を用いている点にある。BREEなどが感覚に近いが、使い込んでいくごとに革の変化が一番見えやすい素材を選んでいるとも言える。いわゆる“育てる革”なのだ。

育てることに魅力がある同社のプロダクトを「育てる前」と「育てた後」を並べて展示するイベント『case study』が、THE CONRAN SHOP SHINJUKUと、スキマ(HenderSchemeの旗艦店)の2店舗で共同開催される。テーマは文字通り『経年変化』。

期間は11月3日〜12日と短いが、展示はほぼほぼ間違いなく革好きにとっては魅力的なものになるはずだ。

(ちなみに筆者は綺麗に育てられる自信がなく、毎度買うのを躊躇している)

source / image : Hender Scheme

iPhoneⅩに想う。この10年でiPhoneはガジェットではなくなった

この10年で『iPhone』は単なるガジェットではなくなった。

10年前、2007年の1月9日スティーブ・ジョブズは携帯電話を再発明すると語り、初代『iPhone』を発表。

そこから10年半、2017年9月12日(米国時間)に『iPhone8』がリリースされた。大方の予想通り「iPhone8」と「iPhone X」に2モデルがリリース。2年サイクルでメジャーアップデートを繰り返すという従来の製品サイクルを、Appleはついに打ち壊してきた。

この製品サイクルの変化はiPhoneの役割が社会において変わってきたことを示しているのではないだろうか。この10年でiPhoneがたどってきた変遷を振り返りつつ、考えていきたい。

消耗品だったiPhoneはいよいよ、消耗品の域を抜ける

僕がはじめてiPhoneを買ったのは3GSの発表日。買ったのは3Gだった。

旧モデルになり少しだけ安くなったiPhone 3Gを購入して以来、僕はiPhoneユーザーだ。途中フィーチャーフォンやAndroid、PHSなどをサブで持っていたことはあるものの、メインの座はiPhoneから変わっていない。

愛用しているといっても過言でないほど日々使っているが、僕にとってiPhoneを含むガジェットはあくまで消耗品にすぎない。PC、スマートフォン、タブレットといった日常的に使うガジェットは、物理的に壊れるより先に性能的な面に起因して買い換えをすべきタイミングが訪れることが多い。

ただここ数年のiPhone、そして今回発表された最新作を見ていて感じるのが、iPhoneは消耗品の域を脱したということだ。これはAppleとして意図していないのかもしれないが、少なくとも一消費者、特にiPhoneを指名買いしているユーザーにとっては実感できるものがあるのではないだろうか。

飛躍的に進化し続けた3G→3GS→4


初期のiPhoneは新モデルが出るたびに飛躍的に性能が向上していた。

僕自身iPhone 3Gから使い続けているが、3G→3GS→4までは新機種が出るたびに目を見張るほどの進化が見られた。ここにはハードウェア的な進歩はもちろんのことソフトウェアの進歩も関係している。

iPhone 3Gの発売と共にリリースされたApp Storeはアプリ開発者に巨大な夢を与えた。自分で作ったアプリが簡単に販売でき、世界中にユーザーに届けることができる。上手くあたれば一攫千金。そんなことを考えてアプリを作り始めた人も少なくないはずだ。

App Storeによってアプリ側が爆発的に成長することで、必然的にハードも追いつかざるを得なくなる。この頃のiPhoneは、一世代前のものを使っていると、新しいアプリを楽しめない(重くて動かない)なんてことも珍しくなかった。この進化はiPhone 4まで続いた。

「不の解消」から「より便利」への移行が始まった『iPhone 4S』


しかし、そのスピードはiPhone 4Sを境に鈍化しはじめる。処理速度やカメラといったハードウェアの進化がそこまで体感できるほど生じなくなってきたのだ。圧倒的な速度で進化してきたiPhoneだったが、ここで壁にぶち当たる。

そもそも、初期のスマホは性能的に不便なモノであった。レスポンスは悪いし、フリーズもする。その根本的な性能の低さが4時点で大きく改善されてしまったのである。故に4S以降は「不便の解消」フェーズから「より便利にする」フェーズに入り、利便性の向上を体感することがいままでより難しくなったのだ。

今のApple製品の基礎を作った『iPhone 5』

とはいえ、iPhone 5は大きな進化を遂げた。というのも4G(LTE)回線に対応し、通信速度面で飛躍的な向上をみせたからだ。ただあくまで、これはAppleの功績ではなく、通信事業者各社の功績だ。そしてこのタイミングで大きく進化を遂げたのはiPhoneだけではなく、全てのスマートフォンだったことも付け加えておかねばならない。

ちなみに、iPod時代から採用され続けてきたDock(30pin)端子を廃し、Lightningに移行したのもこのタイミングだ。デバイス内スペースの無駄を省くことが一番の目的だと思われるが、30pinのデバイスを買いそろえていたユーザーにとってはなかなかに打撃のある変化だった。


続くiPhone 5sでは再び成長が鈍化する。

体感できるほどの高性能化は少なく、Touch IDをはじめとした現在まで生きる機能追加こそあったものの、デザインが5と同じこともあり、4S同様成長が感じやすいデバイスではなかった。

ただ非常に興味深かったのは、5sのタイミングで発表された新色「スペースグレー」「ゴールド」だ。恐らくこの3色展開が上手くいったからなのだろう、以降iPadをはじめとした様々なデバイスで、この3色を含めた多色展開が用いられるようになった。

それまでシルバー単色だったiPadや、今ではMacまでもがカラーバリエーションを持つきっかけとなったのはこの5s時代の影響が大きいと思われる。

またフラットデザインに変更されたiOS7が搭載されたのもiPhone 5sからだった。

3世代同じデザインを踏襲した『iPhone 6』以降


6はどうだろう。

ここでの最大の変化は大画面化と6/6Plusの2モデル化にある。大画面化は賛否両論あったものの、目新しさや、時代の潮流に合わせた大型化を望んでいた人にっては強く響いた部分であっただろう。僕個人の周りでも6 Plusを手にして以降この大画面は手放せないと語る友人も少なくない。

一方6sは5sと同様、地道なスペックの向上とカラバリの増加、追加機能のみの変更だった。ForceTouchに心躍った人もいるかも知れないが、あくまで目新しい進歩はなかっただろう。


昨年の7。日本国内ではFeliCaの搭載が何よりも大きな変化だった。ただし、電子マネーやSuicaを利用しない層にとってはこのメリットは享受できない。

またデザイン面も、背面のアンテナ位置の変更やカラーバリエーションの変更こそあったモノの基本的には6からの流れを踏襲している。6以降の端末はそこまで大きな変化を感じられない人も少なくないのかもしれない。

iPhoneXに見たのは光か


6以降3年間ほぼ同じデザインを踏襲した中で、実質的にメジャーアップデート版として登場したのが今回のiPhoneXだろう。Tim Cookが「One more things…」とわざわざ語った。思いを込めたプロダクトだ。

今回の発表は名称的にもiPhone7sでは無く、iPhone8にするなど歴史あるアップデート版名称を踏襲しなかった。製品のラインナップ的にも、フラッグシップモデルと通常モデルというこれまでに無い展開へ変更してきた。

iPhone8はほぼiPhone7のマイナーアップデート版という機能・見た目だが、iPhoneXが実質的にはメジャーアップデートと呼んで良い。

デザイン面は全面ディスプレイの採用、ホームボタンの撤去など、全く新しいデザインへ進化。FaceIDなど全く新しい機能が搭載された。

最新モデルを追い続けることが正義ではない時代が近づいている

今回iPhoneXレベルの大きな変化は3年ぶりであることを忘れてはいけない。実質6以降大きな変化は今回まで起こらなかった。そして、Xという名を冠したプロダクトがでたことでつぎは8sか9かが読めなくなってきた。

ここまでを振り返ると、4までは毎年大きな変化が続いたが、4S以降は変化のスピードが低下し、2年、そして3年に1度の変化にとどまっててきている。

無論その背景にはスマートフォン市場の成熟もあり、iPhoneの場合は2年に1度のメジャーアップデートという周期の問題もある。ただし、そのメジャーアップデートすらメジャーではなくなってきているのも事実だ。

僕個人でいうと、5までは毎年買い換えていたが、4Sの頃に違和感を感じ、5以降は、2年に一度買い換えサイクルに変化した。7はSuicaユーザーのため買い換えたが、正直買い換えるべきか悩んだのも事実だ。

後ろ向きにいえば、成長が鈍化しているわけだが、前向きにいうと長く使えるものに変わってきているともいえるだろう。

Appleにとってみれば毎年買い換えてもらえるモノを作るのが利益的には良いのかも知れない。現状サイクルが伸びていると感じるのは彼らの意図するところか否かは分からないが、一消費者としては望ましいところだ。

今年初旬のiPhone10周年のタイミングで出したリリースでは「革命は続く」と同社は語ったが、それは常に革新的なプロダクトを出し続けることではないのかもしれない。

長く愛用してもらえる普遍的な製品を作り、常に最新のモノを追い求めることが正義という流れを変えることも1つの革命の姿ではないだろうと個人的には思う。

image by Apple

キーボードをパーソナライズする『WASD Keyboards』

現代人にとってキーボードという入力機器は、体の一部と言っても過言ではない。

思考し言語化したものをいち早くテキストデータに落とし込むには、入力でいかなロスなくデジタル化していくかが鍵になる。逆に言えば入力作業は知的生産行為において大きなボトルネックとなる可能性を持っている。

ボトルネックはいくつかの要素に分解ができる。タイピング速度の向上、タイポの削減、変換ミスの削減などだ。これらのボトルネックは人間の技術的向上と合わせ、プロダクトによる解決も可能だ。その解決策の1つがキーボードだ。

知的生産における最高の生産性向上ツール

ただ自分に最適なキーボードを見つけるのは容易ではない。であれば最適なキーボードをつくってしまえばいい。そう考えたのがWASD Keyboardsだ。

WASD Keyboardsはキーボードの配列、キートップ、キーの押し心地を自由に組み合わせられるカスタマイズキーボード。

キー配列は日本語や英語といった基本的なところだけで無く104,87,61配列など幅広く用意。キートップは色や刻印の有無。押し心地はメカニカルのため、Cherry MXの黒軸・茶軸・青軸・白軸・緑軸から選択し、自分にあった組み合わせを作ることができる。

例えばMacの配列と同じメカニカルキーボードを購入しようと思うと、意外にも全く同じ配列のものは販売されていない。USキーだと尚更だ。

キーボードのこだわりは人それぞれ。多様なニーズに応えるにはカスタマイズ性の高いプロダクトは必ず必要になってくる。キーボードにおけるそれはWASD Keyboardsになるというわけだ。

source/image : WASD Keeyboards

完璧な音を革の上質なケースに収めて。B&O Play『BeoPlay E8』

Bang & Olfsenのカジュアルライン「B&O Play」は、左右分離型の完全ワイヤレスイヤホン『BeoPlay E8』を発表した。

『BeoPlay E8』は同社初の完全ワイヤレスイヤホン(True Wireless Stereo・TWS)だ。AppleのAirPodsの登場によって火がついたこのTWSブームに満を持してBang & Olfsenも参戦した形となる。

機能的には一般的なTWSと同様。Bluetooth4.2での接続で、AACコーデックに対応。バッテリーライフは本体で4時間、専用ケースと併せて12時間利用可能だ。マイクとタッチセンサーを搭載しており、再生停止や電話をかけるといった操作を本体をタッチすることで実現する。

BeoPlayの魅力はデザインと音にある。デザインはシンプルにまとめつつも、ケースにはきれいなシボ革を使うなど質感の高さは際立つ。僕自身Beoplay H8を持っているが、欧州ブランドらしい高級感のある革や金属の質感。他のブランドでは決して真似のできないクオリティに仕上がっている。

音はBang & Olfsenらしい・・・と言いたいところだが販売前のため今言えることは正直ない。ただ、これまでのイヤホン・ヘッドホンシリーズ全般的に音の分離がよく、明るめの味付けになっている印象が強い。さらに専用アプリから音の調整がきくので「自分の好きな音」に落とし込みやすい。比較的最近のポータブルオーディオでは珍しくない機能だが、音の傾向にこだわりのある層には嬉しいポイントだ。

価格は299ドル(約33,000円)。米国内では10月12日より発売するようだが、現状日本でのリリースはアナウンスされていない。

source / image : B&O PLAY

イヤフォンを至高の音楽体験へアップデートするイヤピースComply『T-400』

Complyのイヤピース『T-400』。

オーディオでは耳に近いところから変える方が効果的と言われている。

ポータブルオーディオで言えば、音源よりはプレイヤーを。プレイヤーよりはイヤフォンを。そしてイヤホンより重視すべき、より耳に近いものがイヤピースだ。

Complyのイヤピースは低反発のフォームを用いており、指で小さく押しつぶし耳に入れる。端的に言えば耳栓のような使い心地だ。遮音性が高く、音源本来の音、イヤホン本来の音を楽しむ助けとなる。

一般的なイヤピースと比べると、特に抜けやすい低音の増加が印象的だ。唯一の難点は、耐久性が高くなく、人によるだろうが数ヶ月に一回は新しいものにしなければいけない点だろう。しかも3セットで2,000円ほどと、それなりのコストだ。

ランニングコストこそかかるものの、音とのトレードオフを考えれば、ポータブルオーディオにこだわる人間にとっては決して悪い金額ではないはずだ。

無論、イヤピースが不要なカスタムIEMに手を出すのも一つの手ではあるが。

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image : Comply Instagram

テキストエディタ『Stone』は、インタラクションまで美しく、縦書きをアップデートする

日本デザインセンターが開発するテキストエディタ『Stone』。

“書くことに集中する”ことだけを考え抜いてつくられた、「書く気分を高める」macOS用テキストエディタだ。同社はリリースに先んじて、8月にSNSを通してモニターユーザの募集を実施。β版を試用させていただいている。

日本デザインセンター初の自社プロダクト

プロダクトの使い心地などに触れる前に、開発背景について言及しておきたい。

Stoneは、日本デザインセンター“初”の自社プロダクトである。

日本デザインセンター(以下・NDC)」は、業界で知らない人はいないであろう“超”がつく有名デザインファームだ。亀倉雄策、原弘、田中一光、山城隆一といった現在の広告クリエイティブの礎を作った人物たちが創業し現代表は原研哉が務めている。

開発を担当する日本デザインセンター・北本 浩之氏(写真左)、横田泰斗氏(写真右)

 

開発背景やプロダクトの狙いなどについて、同社ウェブサイト上にインタビューコンテンツが掲載されている。記事内で開発を担当するWebデザイナーの横田泰斗氏はプロダクトの目標を以下のように語る。

目標は書き手を増やすことです。読むのは好きだけど、書くことはちょっと敬遠してしまう。そんな人たちに書く楽しみを知ってもらえたら。snoteがそのきっかけになれたら。そんなことを考えています。サイトも作りますが、アプリの機能説明だけでなく、文学系のイベント紹介や、筆が進む場所の提案とか、ゲストに物書きを呼んでワークショップをしたりとか、サイトそのものが書くための手引きになれればと。

ここ数年収益構造の安定化を狙い、デザインファームが自社プロダクトの開発へ手を広げる流れは強まっている。ただ、日本デザインセンターが手がける自社プロダクトが「テキストエディタ」というのは少々意外だった。

テキストエディタはPC黎明期からさまざまなプロダクトが登場してきた。時代の変遷とともに、常に新しいプロダクトが世に現れは消えていく。その分UIなどデザイン面でも洗練されているプロダクトも多く、日本デザインセンターの強みで差別化を図ることは他のアプリと比べて容易ではないはずだ。

なぜ、テキストエディタだったか。その視点も加味しつつ試用してみている。
 

計算され尽くしたUI

アプリケーションを起動し真っ先に受ける印象はUI(ユーザインタフェース)の綺麗さに違いない。NDCが得意とするところでもあり、Stoneの強みの1つである。

要素を最小限に抑えたシンプルな画面構成。ほんのりと薄灰色の背景に、行数などを示す薄灰色の補助文字。入力する文字色は濃い灰色と、不満のないコントラスト比は保ちつつも、目が痛くない程度の優しい色味にそろえている。PCの画面で目が疲れやすい自分にとって、この配色は嬉しいポイントだ。

フォントを明朝とゴシックで選べるのは、日本発のプロダクトならではだろう。

デザイン面の優秀さでいえばインタラクションについても言及したい。

薄灰色で表示される補助文字はポインタを動かすと表示されるが、テキストが入力され始めるとフェードアウトしていく。テキストの入力中は必要最低限の要素しか表示せず、“書くことに集中させる”ことだけを考えたというデザイナーの意図が垣間見える。

最初の1行を入力する時、画面中央から入力がなされるのも特徴的だ。文字入力は紙とペンのメタファーが用いられることが多い。一番上の行、ないしは右端から文字を入力することもそのメタファーによるものだ。デジタルのテキストエディタであれば中央から入力がはじまっても何らおかしくない。

「考え抜いた、最初の一文を刻む」行為が少しだけ特別になる。
 

差別化要素は“縦書き”

もう1つ、Stoneの大きな特徴と言えるのが「縦書き」への対応だ。

Macにおいて縦書きに対応するテキストエディタは意外なほど選択肢がない。思いつく限りでも「Hagoromo」「Jedit」「Word」くらい。少なくともこの3つにおいて、UI面が美しく整っているものはない。

この縦書きエディタというニーズに対しStoneは1つの解となり得る。

無論、現状では縦書きエディタとして十分とは言えない。βということもあってか、行間や文字サイズ、文字数といった視覚的な調整以外は検索と置換のみと、機能面はかなりシンプルに抑えられている。縦書きであれば求められるであろう、ルビや縦中横といった機能は現状実装されていない。

ただ縦書きにおいて、ここまで美しくテキストへ集中できるUIが実装されたテキストエディタは存在しない。縦書きの場合、特に「原稿用紙」のメタファーが強く、そのメタファーにUIも寄せられる傾向が強い。

前述したところだが、StoneではデジタルネイティブなテキストエディターとしてのUIが実現されている。

僕は普段Ulyssesというテキストエディタで原稿を書いている。UlyssesもStone同様シンプルなUIで書くことに集中することを重要視しているテキストエディタだ。加えてStoneよりも多機能で、Markdownへ対応し、アウトライナー機能も搭載、iCloud経由でのマルチデバイス対応も実装されている。

Ulyssesと比べてStoneが“便利”とは現状まだまだ言えない。ただ、ビジュアル面で言えば、インタラクションなど細かな積み重ねの意味ではStoneの方が上をいく。さらに縦書き対応は今後既存製品を含め圧倒的な差別化を狙える可能性を有している。

多機能化したときにこのUIの美しさを果たして担保できるのかという不安はあるが、今後の機能拡張がStone導入の鍵になりそうだ。

stone(ストーン) – 書く気分を高めるテキストエディタ

価格は3,000円。2017年11月30日にリリースされた。(※追記2017年12月2日)

source/img: Nippon Design Center

NCイヤホンの限りなく完成形BOSE『QuietControl 30』

BOSEのノイズキャンセリングイヤホン『QuietControl 30(以下・QC30)』。

このQC30は同社の擁するノイズキャンセリングシリーズの中でもかなり完成形に近いと個人的に思っている。

他者と比較しても圧倒的にクオリティの高いノイズキャンセリング機能を有するBOSE。このノイズキャンセリングをBluetoothイヤホンに搭載し、10時間のバッテリ持続を実現。イヤーチップには長時間の着用も苦にならない、軽いつけ心地のStayHear+ QCチップを採用するなど全方位に抜かりがない。

強いていうならばバッテリーの持続時間が15時間以上あるとよかったり、バッテリーが切れた時には有線で利用できるようにしてくれると嬉しいが、両者ともかなり稀なケースでか困らないため、あえてデメリットとして挙げるほどでもないだろう。

ヘッドホンタイプのQuietComfort35ならバッテリーの持続時間は長いが、ヘッドホンの場合着用時の側圧が気になったり、壁などに寄り掛かると当たる面積が広く、飛行機で寝る時に使うには不便で個人的には課題が残る。つまりイヤホンタイプこそが最適解なのだ。

実はBluetoothになる前製品のQC20を以前持っていたのだが、先日シンガポールへ行った際に紛失。急遽機内販売で購入したのがこのQC30だった。ただ急遽買った割にはとてつもなく満足度は高く、ワイヤレスゆえの利便性も大きい。

購入前までは正直ネックバンドの部分が邪魔くさいのではと思っていたが、実際買ってみると、鞄に入れずほぼ首に掛けて移動すれば何ら不自由しないことに気づいた。

僕にとって、QC30は現状のノイズキャンセリングイヤホンにおける最適解だ。

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source / image : BOSE